虫歯の根本原因はミュータンス菌

幼児期というのは、肉体や臓器はもちろん免疫や常在細菌に至るまで不安定な時期であると共に、経験の蓄積もない非常に無防備な時期であることから、五感が非常に敏感であり、子供がピーマンに代表される苦みや青臭さが強い食品を好まないことも、鋭敏な味覚や嗅覚が苦みや青臭さを持つ食品を経験不足から毒が含まれていると見做していることに起因したものです。
つまるところ、幼児期の子供の五感は非常に敏感であり、虫歯予防の最有力手段である歯磨きも、口腔内に異物が侵入するという触覚と味覚、場合によっては嗅覚を刺激する行為であることから、子供にとって危険ないし不快と見做されやすく、子供には歯磨きによる虫歯予防が満足に行えないことも想定しておかなければなりません。
歯磨き以外の虫歯対策として、ミュータンス菌の感染予防や砂糖に代表される糖類を含まない食事、キシリトール配合のお菓子、歯科医院での歯に対するフッ素添付が考えられますが、保護者によるミュータンス菌の感染予防や糖類を含まない食事はともかく、歯科医院でのフッ素添付には、歯磨きと同様に子供が危険や不快を感じやすいものの、小児歯科を専門とする歯科医院においては、歯科診療の一環として、予防歯科診療を行うための子供向けトレーニングを実施しているため、場合によっては家庭での歯磨きも行えるようになるでしょう。
家庭で行える虫歯予防のためのトレーニングとしては、誤飲を含む不測の事態に備え、保護者の監視下の元、茹でるないし蒸したサツマイモやカボチャのような柔らかくできる甘い野菜を細長いスティック状にして与えて、口腔内に細長いものが侵入することを経験させ、五感に由来する忌避感を抑制することで、子供の歯磨きや予防歯科診療への忌避感を軽減できます。